アニマルシェルターをご存知ですか?
アニマル・シェルターとは、迷子や飼育放棄などで行き場のない動物や不適切な飼育環境にある動物の保護と人道的な処置を行う動物保護施設です。 そのような施設の働きによって人と動物の絆が強められ、動物に対する人間の残酷な行為や望ましくない対応が減少するとしたら、それは人と動物が共存するところであればどこにでもあるべき存在だとは思いませんか。このようなシェルターはアメリカやヨーロッパでは当たり前の施設になっています。 また、アニマルシェルターは、動物がシェルターに収容されざるを得なくなる原因の発生防止の役割も担っています。そして、飼い主としてふさわしいと思われる人に里親になっていただく橋渡しをすることもシェルターの大切な役割です。 ラパス動物病院では、このようなアニマルシェルターによる動物福祉を応援しています。院長ストーリーでも書きましたが、日本の動物福祉は諸外国に比べて遅れています。 アニマルシェルターは今、適切な終生飼養のできる飼い主を育てて、無責任な飼い方をする人をなくし、人と動物とのよい関係が持続するように、地域社会における人と動物の拠り所となって活動を続けています。 動物たちの命を循環でき、命を大切にできるような動物福祉のシステムをしっかりと作ることを重視しています。 また、里親が決まった動物から望まれない子供が生まれ、その子供たちがまたシェルターに戻ってくるという悪循環を防ぐため、シェルターの動物たちへの早期不妊手術(早期避妊・早期去勢手術)とマイクロチップの装着を推奨しています。
早期不妊手術とは・・?
犬や猫など私たちにとってかけがえのない伴侶動物を守る事が出来る早期不妊手術(早期避妊手術・早期去勢手術)をご存知ですか。一般には生後6ヶ月以降で不妊手術をすることが多いですが、早期不妊手術は生後約6~16週齢の子犬子猫に避妊去勢手術をすることを言います。これは不妊手術(避妊去勢手術)をしていない犬猫からたくさんの望まれない子供が生まれ、年間数多くの犬猫が安楽死されることを防ぐために考えられた方法です。 私はオーストラリアのRSPCA(王立動物虐待防止センター)で一年間ほどボランティアをする機会がありました。日本のような動物管理センターはなく、代わりに巨大な動物虐待防止センターすなわち動物シェルターがあります。20名ほどの獣医師がいる動物病院が併設され数千頭の犬猫をはじめ、様々な動物が保護されています。また有名な動物警察が所属しているのもここです。 ここでは、毎日数十頭の子犬子猫の早期不妊手術が行われています。10台程の手術台で次から次へと早期不妊手術が行われ、手術が済んだ犬猫には、不妊手術が終わっていることを示す小さな刺青を耳の内側にし、マイクロチップも埋め込みます。そしてシェルターには、毎日たくさんの里親が訪れ、早期不妊手術が終わった犬猫を有償で引き取り大切に育てます。 この早期不妊手術は、動物福祉の先進国の欧米など多くの国で以前より実施され、安全性や有効性が証明されています。私はすでに100頭以上の犬猫の早期不妊手術を行ってきました。実際に多くの早期不妊手術をした経験から、生後6ヶ月以降の不妊手術に比べて術後の回復がとても早いことを実感します。術後の麻酔の目覚めもスムーズで、麻酔から覚めるとすぐに元気よく動き回り、食事を食べ始めます。また子宮卵巣・精巣が小さく脂肪も少ないため、手術中の出血もほとんどなく手術時間も短く済み、結果として手術の安全性が高くなります。 早期不妊手術後の成長も、現在多くの動物病院で実施されている性成熟前の生後6ヶ月以降の不妊手術と同じように健康に成長し、発情期のストレスや性ホルモンの影響で4、5頭に1頭の割合でみられる乳腺腫瘍などを予防することが出来ます。 このようなシェルターが、日本でもっと、身近な施設になるようにラパス動物病院は応援しています。
※当院は「しっぽの会」の早期不妊手術(早期避妊手術・早期去勢手術)をしています。